羽衣(はごろも)

 

あらすじ

 

 春の海をひかえた三保の松原の、とある松に美しい衣がかかっている。それを見つけた漁夫白龍が、家の宝にしようと持ち帰ろうとすると、そこへ天人があらわれ、「それは私の羽衣だから返してください」と言う。いやだと言うと、天人は「それがないと天に帰れないのです」と嘆き、空を懐かしげに見上げる。その哀れな様子に心打たれた白龍が、天人の舞楽を見せてもらうのを条件に衣を返す。

 天人は喜んで、月界における天人生活の面白さを語り、この松原の春の景色はその天界にも勝る面白さであると賞でながら舞を舞ったが、それが伝わって東遊の駿河舞となった。さて、天人はしばらく袖を翻して舞っていたが、やがて富士の山よりも高く、霞んだ空の彼方へと消え失せた。長閑な春の海に青々とした松原、遠景には富士山が見える。そのような情景の中で、美しい天人が舞いながら昇天する。

 

 

配役

 

シテ/天人 ワキ/漁夫白龍 囃子 地謡